核融合工学研究総主幹 村上 泉

核融合工学研究プロジェクトについて

 核融合工学研究プロジェクトでは、ヘリカル型核融合炉の設計と炉の実現に必要な工学研究を進めています。ヘリカル方式はプラズマ電流を必要としないため、定常炉として成立するための優れた特性を持っており、本プロジェクトでは物理・工学設計に基づき、工程を精査した最適な研究開発シナリオの構築を進めています。工学研究においては、整備されてきた研究開発装置群を活用して、最適な大型超伝導コイルシステム、高い効率のブランケットと第一壁、熱除去性能に優れたプラズマ対向機器、放射線に強い長寿命材料、燃料である水素同位体の管理技術などの研究を、炉設計と高度な整合性を取りながら進めています。これらの研究にあたっては、大学の核融合工学研究の中核として、共同研究により各大学の機能強化を図るとともに、基礎となる学際領域の研究拡充を進めています。また、工学分野の国際協力も積極的に進めています。工学研究においては炉型に依らず共通の課題が多くあり、原型炉開発、ITERテストブランケット計画、幅広いアプローチ(BA)活動や強力中性子源開発などにも協力しています。