ヘリカル核融合炉設計研究

　ヘリカル方式の磁場閉じ込め核融合炉では、プラズマを閉じ込める磁力線のカゴを超伝導マグネットだけで生成します。プラズマ電流を流す必要がないため定常的にプラズマを維持することが容易で、プラズマが突然消滅するディスラプションという現象も起こらないため、発電所として24時間×365日安定に運転し続けなければならない核融合炉に適した閉じ込め方式です。私たちのグループでは、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置LHDで得られた知見に基づくLHD型ヘリカル核融合炉FFHRの設計を、国内および海外の研究者との共同研究によって進めています。
　設計では、核融合炉実現に向けて解決すべき課題の洗い出しや核融合炉の開発戦略の検討も進めながら、課題の解決や核融合炉の魅力の向上のため、高温超伝導マグネット、液体金属や金属ペブルを用いた新型ダイバータ（プラズマからの熱・粒子を受け止める機器）、溶融塩や液体金属を用いた先進ブランケット（核融合燃料製造・放射線遮蔽・エネルギー変換の役割を担う機器）といった世界的にも注目を集める最先端技術を積極的に取り入れています。また、超伝導マグネットの形状を工夫してプラズマの閉じ込め性能を改善する研究、構造物に適切な穴抜きを施して巨大な核融合炉の軽量化を図るトポロジー最適化の研究、ロボットを用いたダイバータ及びブランケットの遠隔保守・交換に関する研究、核融合炉のコスト評価及び安全評価に関する研究などが進行中です。国内外の核融合炉設計研究はLHD型以外のヘリカル方式、トカマク方式、レーザー方式、あるいは新概念閉じ込め方式といった様々な方式でも検討が進められていますが、これらの研究グループとも頻繁に情報交換を行い、互いに影響しあいつつ、より早期に実現可能な核融合炉の設計を日々追求しています。